東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
ホーム > 国際交流 > 報告書 檜山卓也

報告書

理学系研究科 生物化学専攻 博士課程2年 檜山卓也

 この度、gCOEの国際交流プログラムの一環として、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のリトリートに参加させていただきました。ここに、そのプログラムと所感を簡単に報告させていただきます。

  私が参加したプログラムはBioinformatics/Biophysics/CCBという3つの分野の研究室から総勢300人程のスタッフや学生が集まる、リトリートとしては比較的大規模なものでした。湾を挟んで向こう側にMontereyの街並みが見える、非常に美しい海岸沿いに建てられたリゾートホテルへ集まり、2泊3日の日程で行われました。

 リトリート委員長であるRobert Fletterick教授の「我々は学生のためにいるんだ!」という掛け声と共にスタートしたリトリートは、各ラボのPIが口頭発表し、学生、スタッフ共にリラックスした雰囲気で活発な議論がなされていました。

  夜には新入生の紹介(一人一人丁寧に紹介していたのが印象に残りました)、また私も東京から来た学生ということで、皆の前で自己紹介させていただく時間をいただき、それがきっかけで皆が自然に話しかけてくれるようになりました。その後ダンスパーティーがあり、学生だけでなく、(ご高齢の!)教授も夜遅くまで盛り上がっていたところは西海岸の陽気な雰囲気とパワフルさを感じました。

  2日目も朝から各ラボの研究発表があり、活発に議論がなされました。食事の際は教授や他のラボの学生と熱心にお互いの研究の話をすることができました。全体を通して、教授、学生共にフレンドリーで、さらに皆が気遣ってくださったところがとても印象に残りました。夕食時にポスター発表があり、私はそこで発表する機会が与えられました。細胞生化学だけでなく、イメージングなどの生物物理、薬剤有機合成など様々な分野の研究の話を聴くことができ、とても時間が足りない中、多くの刺激を受けることができました。また、多くの人がポスターを見に来てくれ、貴重な意見も頂けたことも幸いでした。その後skitと呼ばれる新入生による出し物が行われ、デタラメのスライドの前でいきなり教授がプレゼンをさせられたり、オリジナルソングがあったりと、とても盛り上がっていました。

 3日目には特に素晴らしい研究をされた若手PIによる発表が行われ、Bioinformaticsやcombinatorial chemistryなどの新しいアプローチの研究発表がなされ、余りなじみの無い分野でも活発に質問が飛び交っていました。最後に表彰式があり、この一年に素晴らしい活躍をした学生が表彰されていました。

  大学に戻った後もいくつかの研究室を訪問させていただきました。どの教授も熱心に私の話を聴いてくださり、また研究室のメンバーを積極的に紹介してくださりました。そこで多くの研究者と互いの研究を紹介仕合い、技術的な情報やどういった研究が盛んに行われているかなど情報交換をでき、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

  今回プログラムに参加させていただいて一番強く感じたことは、日本とアメリカの違いよりも、今の時代に研究する者同士の共通点でした。参加する前まで、アメリカの研究費は日本の何倍もあって日本よりダイナミックかつ合理的に研究が行われているのではないか、と感じていました。確かに、アメリカは一つの分野に研究室がたくさんあり、幅広いネットワークの元にそれぞれが切磋琢磨している様子が伺えました。しかし、向こうの学生や教授と色々話をするうちに、同じように研究費やポストのことで悩んだり、同じような技術的困難を抱えていたり、同じように大きな目標を目指して努力する様子を垣間見ることができ、自分達は環境を言い訳にはできないな、と身が引き締まる思いがしました。

 最後に、本プログラムへの参加に当たり多大なご尽力を賜りました多羽田先生、事務手続きでお世話になりました朝倉様、ホストになっていただいたUCSFのGross博士とそのラボメンバーの皆さんに心より感謝を申し上げたいと思います。