東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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GCOE UCSF Developmental Biology Retreat 2009参加報告書

分子細胞生物学研究所 形態形成研究分野 阿部崇志

 2010年2月7、8日の二日間にわたって開催された、UCSF Developmental Biology Retreatに参加した。実際の会場はSan Franciscoから車で北へ1時間半程のところにある、Marconi Conference Centerというところであったが、ホストラボのKornberg先生直々に、私たちをホテルから会場まで送迎してくださった。緑の丘陵と青空の組み合わせが美しい風光明媚な場所で、この景色だけでもRetreatに参加したかいがあったものだと感動した。

 プログラムは比較的コンパクトなワークショップ形式で進められた。一口にDevelopmental Biologyといっても、内容は非常に多岐に渡っていた。鳥胚のオーガナイザーの移植実験による進化発生学的なトピックや、魚やヒトの神経系のライブイメージングによるvivoでの発生に関する知見など、普段研究室に閉じこもっていては触れることのできない様々なジャンルの話題があった。広い視野を持つという点でも、将来の研究テーマを選択する上でもとても参考になった。また、大学院生の演者も何人かいたが、内容はもちろんのこと、非常にプレゼンテーション能力が高かった。自身の研究を専門外の人に興味を持たせわかりやすく伝えるには、最初どのようにして聴衆を惹きつけ、その後どういう展開で論を進めていくかなど、プレゼン能力の向上という点でも刺激をうけた。もっとも自分の場合は、まずは英語での発表・対話に困難を感じなくてすむというような、本当に基礎的な段階からレベルアップしていかねばならないのはやや残念な話ではあるが、今回の気持ちを忘れずに頑張りたい。

 夕食が済むと、セミナー会場とは別の建物でポスターセッションが行われた。私のテーマはショウジョウバエをモデルとした神経軸索の形成機構の解析であり、哺乳類を初めとする他のモデル動物や、培養細胞の系で実験を行っている人たちには多少マニアックだったと思われる。しかも事前に幾度かは練習したものの、私の話す英語はやはり拙いものであり、これで本当に理解してもらえるだろうかと非常に不安であった。しかし、意外にもポスターを見てくれた人はみな理解してくれていたようで、「この先研究をどう展開していくつもりなのか」や、「堅実な仕事で、遠くないうちに論文としてみるのを楽しみにしている」など、好意的な感想もいただくことが出来たことは、今後研究を進めていく上で大変心強いものとなった。

 リトリート終了後は、学位取得後の研究テーマやポスドク先の検討も兼ね、UCSF、スタンフォード大、UMASS医科大、Harvard大の研究室を訪ね、ディスカッションさせて頂く機会を持てたことも、本リトリートの大きな収穫の一つだった。リトリートで知り合った人々と、準備に携わってくれた皆様全員に、感謝を述べて締めくくりたい。