第975回 生物科学セミナー

長鎖ノンコーディングRNAによる新しい生体制御

中川 真一(理化学研究所)

2014年05月21日(水)    16:40~   理学部3号館 326号室   

ヒトやマウスなどの高等脊椎動物のゲノムの大部分はタンパク質をコードしていない。しかしながら、ゲノムワイドなトランスクリプトーム解析により、 それらタンパク質をコードしない「ノンコード領域」も実際は RNA へと転写さ れていることが明らかとなってきた。これら「ノンコーディング RNA」の機能 は長らく不明であったが、近年、クロマチン修飾酵素と相互作用してエピジェネティックな遺伝子発現を制御したり、核内構造体の構成成分として機能 を発揮していることが明らかとなってきた。本セミナーではこれら「長鎖ノン コーディング RNA」による生体制御機構の最新の知見を紹介しながら、これらの遺伝子の進化的な起源についても考察してゆきたい。

参考文献 Mercer, T.R., and Mattick, J.S. (2013). Structure and function of long noncoding RNAs in epigenetic regulation. Nat Struct Mol Biol 20, 300-307. Batista, P.J., and Chang, H.Y. (2013). Long noncoding RNAs: cellular address codes in development and disease. Cell 152, 1298-1307.