人類学演習・談話会

現代日本人の縄文人由来変異から解き明かす本土日本人の地域的多様性の起源

渡部 裕介 先生(東京大学 大学院理学系研究科 ゲノム人類学研究室)

2023年04月14日(金)    16:50-18:35  理学部2号館201号室   

現代日本人は、日本列島に古くから居住し狩猟採集を生業とする縄文人と、後の時代に大陸から渡来し日本列島に稲作農耕文化をもたらした大陸系東アジア人の混血によって成立したとされる。縄文人の遺骨由来DNAを用いた集団遺伝学的解析から、現代日本人のゲノムのうち10~20%が縄文人に由来することがわかってきた。演者は、現代日本人のゲノム中の縄文人から受け継いだ変異(縄文人由来変異)を特定し、縄文人由来変異を用いた解析によって日本列島人の集団史を解明することを目標として研究を進めてきた。本発表では、演者が開発した現代日本人の縄文人由来変異の検出方法について説明したのち、縄文人由来変異にもとづいて日本人の遺伝的な地域差に関する解析を行った結果を紹介する。また、縄文人由来変異をマーカーとして日本人の縄文系祖先および大陸系祖先の表現型を推定した結果について紹介し、日本人の両祖先集団がそれぞれの生業へ適応した形質を獲得した可能性があることを示す。以上の結果を元に、現代日本人の遺伝子型および表現型の多様性が形成されるに至る本土日本の集団史について考察する。

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<今後の予定>
4月 21日 大橋 順 先生
   28日 森田 航 先生
5月  5日 祝日
   12日 五月祭準備のため休講