第1406回生物科学セミナー

特殊土壌地帯における植物の種分化ゲノミクス

阪口翔太 助教(京都大学大学院地球環境学堂)

2022年12月07日(水)    17:05-18:35  Zoomによるweb講義   

限られた植物しか生育できない特殊土壌地帯は,植物の適応進化や生態的種分化を研究するのに適した環境です.私たちは日本の特殊土壌地帯で進化した野生植物を対象に,エコタイプ間・姉妹種間でゲノム比較を行うことで,種分化過程における集団動態や分岐自然選択を受けたゲノム領域を明らかにしてきました.本講演では,(1)地理的に離れた超苦鉄質土壌帯でキク科アキノキリンソウが迅速に平行適応できた遺伝的背景と,(2)温泉スペシャリストであるカヤツリグサ科ヤマタヌキランの強酸性土壌(pH2-3)への適応機構についてお話しします.

参考文献
Sakaguchi et al.2017, New Phytologist 216(4):1268-1280. Sakaguchi et al. 2018, Journal of Ecology 107(1): 418-435. Nagasawa et al. 2020, Molecular Ecology 29(17): 3234-3247.

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・植物進化学研究室