第1397回生物科学セミナー

木本性つる植物の生態・戦略的意義を問い直す

市橋隆自 准教授(九州大学農学研究院環境農学部門)

2022年06月01日(水)    17:05-18:35  Zoomによるweb講義   

つる植物(vine, climbing plant)は、他の植物に自重支持を依存しながら成長する植物の総称である。森林生の大型木本種(liana)は、周囲の樹木の成長・生存を阻害し、よって森林全体の動態に大きな影響を与えることが知られている。その生息密度が高い熱帯林を中心に「つる植物が森林に与える影響」が精力的に評価されてきた一方、つる植物自身の生活史や生態的特性に関する評価は驚くほど少なく、基礎的な情報がしばしば欠けている。本セミナーでは、演者がこれまでに日本温帯林で行ったつる植物の成長、物質分配、水利用など基礎生態に関する研究を紹介し、「自重支持を他者に依存する」ことの戦略的な意義を改めて考察する。
参考文献
市橋 (2019) 野外環境下における木本性つる植物の成長特性-自重支持依存のコストとリスクを考える.日本生態学会誌69:71-81.(この総説中に参考文献はすべて挙げてあります)

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・附属植物園