第1375回生物科学セミナー

音を介した求愛コミュニケーションの成立基盤

上川内あづさ 教授(名古屋大学大学院理学研究科)

2021年09月17日(金)    17:05-18:35  Zoomによるweb講義   

地球上の生物種のうち、半数以上が昆虫だと言われています。彼らの巧みな生存戦略が、このような繁栄の一助を担っていると考えられます。では、昆虫たちはどのようにして、同じような場所に共存する異種の虫たちと混線することなく、同種の中だけで互いにコミュニケーションをとっているのでしょうか?またそれは、私たちのコミュニケーションとは全く違う要素からなっているのでしょうか?
実際に多くの昆虫は、求愛時に相手へのアピールを行っています。私たちは、そのような求愛コミュニケーションを成立させる昆虫脳の仕組みに興味を持って研究を進めています。具体的には、羽音を介して配偶行動を行うショウジョウバエや蚊に着目して、聴覚を使った求愛コミュニケーションの成立機構を調べています。本セミナーでは私たちの研究を紹介することで、彼らの小さな脳が持つ、求愛シグナルの情報処理機構の謎に迫ります。

参考文献
1.動物の生きるしくみ事典(日本比較生理生化学会). https://cns.neuroinf.jp/jscpb/wiki/通信:昆虫の聴覚コミュニケーション
2.山田 大智 , 上川内 あづさ(2019) . わずかなリズムの違いを聞き分ける脳のしくみ. BRAIN and NERVE 71巻6号. DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416201322

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・細胞生理化学研究室