第1335回生物科学セミナー

植物の高温・乾燥ストレスに対する初期応答の分子機構

溝井 順哉 准教授(東京大学大学院農学生命科学研究科)

2020年11月11日(水)    17:05-18:35  Zoomによるweb講義   

高温や乾燥は、植物にとって生存にかかわる深刻なストレス条件である。植物はこれらのストレスに応答して遺伝子発現を活性化させることにより、耐性を向上させる。これらのストレスに応答した遺伝子発現において重要な転写因子の一つがDREB2である。DREB2は、転写、さらには翻訳後のレベルで複数の経路により多重かつ厳密に制御されることが明らかになっており、これらのストレスに対する応答においてハブとして機能していると考えられる。本セミナーでは、シロイヌナズナDREB2Aの転写制御を起点として高温・乾燥ストレスに対する植物の初期応答に関して解説するとともに、DREB2Aの翻訳後制御についての最新の知見についても紹介する。

参考文献
Mizoi et al. (2012) Biochim Biophys Acta 1819: 86-96
Morimoto et al. (2017) Proc Natl Acad Sci USA 114: E8528-E8536
Mizoi et al. (2019) J Biol Chem 294: 902-91

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・生体制御研究室