第1346回生物科学セミナー

動物の形態パターンを進化させる遺伝的要因と外的要因

田中 幹子 准教授(東京工業大学 生命理工学院)

2020年06月08日(月)    16:50-18:35  Zoomによるweb講義   

生物は様々な環境に応じて、発生プログラムを変化させることで体の形を進化させてきた。我々の研究室では、形態進化を生み出す発生プログラムの変化を理解することを目的に、様々な脊椎動物胚を用いた研究を展開している。動物の行動様式や生息域の多様化に直結する形態パターンの変化は顕密な遺伝的制御を受けているが、その一方で、温度、乾燥、重力などの外的要因の影響を強く受けることがある。本セミナーでは、脊椎動物の付属肢(対鰭と四肢)を題材に行った遺伝的に制御された形態進化に関する研究成果に加え、外的要因による発生プログラムの変化がどのように形態進化へと繋がるのか、最新の研究成果をもとに議論したい。

参考文献
1. Cordeiro IR, Kabashima K, Ochi H, Munakata K, Nishimori C, Laslo M, Hanken J, Tanaka M (2019). Developmental Cell 50, 155-166.
2. Okamoto E, Kusakabe R, Kuraku S, Robert-Moreno A, Onimaru K, Sharpe J, Kuratani S, Tanaka M (2017). Nature Ecology & Evolution 1, 1731-1736.
3. Onimaru K, Marcon L, Musy M, Tanaka M, Sharpe J (2016). Nature Communications 7, 11582.
4. Onimaru K, Kuraku S, Takagi W, Hyodo S, Sharpe J, Tanaka M (2015). eLife 4, e07048.
5. Suda N, Ito T, Nakato R, Shirakawa D, Bando M, Katou Y, Kataoka K, Shirahige K, Tickle C, Tanaka M (2014). Development 141, 2885-2894.

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・動物発生学研究室