岩崎研公開ラボセミナー

環境DNAを研究する 〜その性質と動態に着目して〜

徐 寿明 氏(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 博士後期課程)

2019年12月19日(木)    14:00-  理学部3号館 310号室   

近年、主に水域における新たな生物相モニタリング手法として「環境DNA (eDNA) 分析手法」が注目されつつあり、従来のモニタリング手法よりも非侵襲的かつ広範囲、迅速かつ高感度での生物相モニタリング例が数多く報告されるようになっています。一方で、適正なサンプリングおよび結果の解釈、また本手法の新たな適用可能性の開拓において、eDNAの由来や状態、移流や残存といった「eDNAの基礎情報」は極めて重要な役割を担いますが、それらの知見は未だ十分ではなく、不明瞭な部分も多く残されています。
発表者はこれまで、eDNAがどのような性質を有し、どのような動態を示すのか、すなわち「eDNAそのものを研究すること」に興味を持ち続けてきました。本セミナーでは、eDNAの基礎研究の重要性と課題について概説した後、研究成果の一部として、以下の二つのトピックについて紹介します。
(1)核およびミトコンドリアに由来する魚類eDNAの動態の比較
(2)長鎖eDNAを用いたバイオマス推定精度の改善可能性