塩見研公開ラボセミナー

エピゲノムによる転写抑制機構の解明

眞貝 洋一 博士(理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員)

2019年11月15日(金)    16:30-17:30  理学部3号館 326号室   

私たちの体を構成する様々な種類の細胞は、それぞれ固有の遺伝子を発現することでその細胞特有の機能を発揮する。転写調節因子は各遺伝子の発現を制御しているが、エピゲノムはクロマチンの状態を変えることで転写制御因子による遺伝子発現を操る。我々は長年、種を超えて保存されている転写抑制のエピゲノムの1つであるヒストンH3の9番目のリシン残基(H3K9)のメチル化による転写制御機構の研究を進めてきた。H3K9のメチル化は、生物種によってはもう一つの転写抑制のエピゲノムであるDNAメチル化とクロストークしながら、細胞種特異的にあるいは恒常的に転写抑制に寄与する。しかし、未だ、これらのエピゲノムが如何にして転写調節因子に拮抗して転写を抑制するのか、その本質的な理解には至っていない。本セミナーでは、この問題に対する最近の我々の研究の一端を紹介したい。