第1298回生物科学セミナー

緑藻の概日時計

松尾 拓哉 先生(名古屋大学 遺伝子実験施設 講師)

2019年09月06日(金)    15:00-17:00  理学部3号館 326号室   

 地球の自転に伴い、生物を取り巻く環境は24時間周期で変化します。それに適応するため、生物は進化の過程で概日時計を獲得しました。概日時計の分子機構の研究は、真核生物においては、マウス、ショウジョウバエ、シロイヌナズナといった、比較的複雑な体制を持つ多細胞生物で進んできました。一方、単細胞真核生物に関しては、あまり研究が進んでいませんでした。概日時計の基本構造はひとつの細胞内で完結しますので、単細胞のモデル生物も研究に役立つと思われます。そこで私は、単細胞性の緑藻の一種であるクラミドモナスを使って概日時計の研究を始めました。本セミナーでは、クラミドモナスの研究から見えてきた緑藻の独特な概日時計を、陸上植物や他の生物の概日時計と比較しつつ紹介します。