人類学演習Ⅲ/人類学セミナー3

霊長類社会における偶然と必然:個体のライフコースは、どの程度、予測できるのか?

沓掛 展之 先生(総合研究大学院大学 先導科学研究科 生命共生体進化学専攻)

2019年06月14日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 201号室   

 S. J. Gould (1990)が「生命のテープを巻き戻し、もう一度、再生したら」という例えで表現したように、生物進化に再現性・反復性が存在するかどうかという問題は、予てから生物学者の興味を惹いてきた。動物個体が誕生から死ぬまでに辿る社会的変遷(ライフコース)についても、同様の問いが成立する。確率論的・偶発的な事象が個体のライフコースに影響することは明らかである。その一方、幾多の実証研究によって、社会的制約が、個体の適応戦術の発現を規定するという必然的な因果関係が明らかにされてきた。これらの適応、制約、偶然の関係を丹念に解きほぐすことで、生活史の各段階における適応的な社会戦術、また個体のライフコースを予測・理解することが可能になるかもしれない。本講演では、霊長類の社会行動に関する最近の研究を紹介し、個体のライフコース・社会の挙動を予測する概念的理論を提唱することが可能かどうかを議論したい。

<今後の予定>
 6月 21日 Dr. Mercedes Okumura
28日 大橋研 担当
 7月 5日 Dr.R. Mace & Dr.R. Sear
 ※公開シンポジウム「ALE 」内で開催(4階大講堂)