人類学演習Ⅲ/人類学セミナー3

二足起立行動が骨形態に及ぼす影響:実験形態学的研究、比較機能形態学的研究によるアプローチ

松村 秋芳 先生(神奈川大学非常勤講師)

2019年06月07日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 201号室   

 二足起立行動が動物の筋骨格系に及ぼす影響の法則性を理解することは、ヒトの二足行動に対応した筋骨格系の形態や機能の進化を考えるうえで有用である。このような観点から、実験小動物を用いた実験形態学的研究や類人猿と人類との間の比較機能形態学的研究が行われてきた。オペラント条件づけを利用したラットの二足起立運動負荷実験では、遺伝的に均一な動物に特定の様式の負荷を自発的にストレスなく与えることができる。このとき、筋や骨に生ずる構造力学的な順応の様子を負荷の条件や筋活動、姿勢と対応させながらしらべることができる。類人猿と人類の間における四肢骨の形態と機能の比較からも行動様式の違いに関わる構造力学的な特徴を見出すことができる。これらの知見を実験形態学的な研究から得られた知見と併せることによって、より立体的な理解が期待できる。本講では、これまで行ってきたいくつかの研究を紹介し、実験形態学的研究、比較機能形態学的研究の有効性について検討する。さらに、このようなアプローチによる研究の将来の展望について考えたい。

<今後の予定>
 6月 14日 沓掛 展之 先生
   21日 Dr. Mercedes Okumura
28日 大橋研 担当