第1262回生物科学セミナー

酸素非発生型光合成 ―光合成の起源と進化―

花田 智 教授(首都大学東京)

2019年06月19日(水)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

酸素非発生型光合成とは、その名の通り、酸素発生を伴わない光合成のことである。酸素発生型光合成がシアノバクテリアにしか認められないのに対し、この酸素非発生型光合成はバクテリアの中に広く見られ、系統的に離れた6つの系統群に散在している。また、シアノバクテリアではふたつの光化学系(光化学系IとII)が光合成に関与していることが明らかとなっているが、酸素非発生型光合成を行うバクテリアでは一方の光化学系しか持たないことが分かっている。ゲノム配列に基づく系統解析から、酸素非発生型光合成は酸素発生型光合成より古くに出現したことが強く示唆されている。しかし、光合成の起源やその進化過程に関しては未だ議論の渦中にあり、明確な結論は出ていない。本講演では、酸素非発生型光合成の生理学的多様性を説明するとともに、未だ謎多き光合成の起源や進化過程について論じたい。また、酸素が発生する以前の古地球の環境での微生物生態系にまで想像の翼を広げてみたい。