人類学演習Ⅱ/人類学セミナー2

喰われるヒヒから、初期人類の対捕食者行動を考察する

松本 晶子 先生(琉球大学 国際地域創造学部/大学院観光科学研究科館)

2018年12月07日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 201号室   

少なくとも600万年前から現在まで、人類、ヒヒ、ヒョウの祖先は同所的に生息しており、その当時から、人類とヒヒはヒョウに喰われてきた。私たちの祖先 がサバンナに進出した際には、森林に住んでいたとき以上に肉食獣に喰われる危険が増したに違いない。捕食圧は個体の適応度に影響するだけでなく、集団サイズや社会性にも影響するため、捕食の実態と捕食の回避の解明は重要な研究課題である。しかし現生霊長類についてでさえ、捕食される場面の観察が困難なことから捕食圧の高さは論争になってきた。このセミナーでは、バイオロギングの手法と観察から明らかになったヒヒが被る捕食から、初期人類への捕食を考察する。はじめに、現在のサバンナに生息するヒヒにとって、ヒョウが最も主要な捕食者であることを先行研究から示す。次に、ヒヒがいつ、どのようにヒョウに捕食されるのかを全地球測位システム(GPS)から得た位置データと行動観察から示す。さらに、ヒヒの対捕食者行動を紹介する。最後に、得られた結果を初期人類にあてはめ、彼らの対捕食者行動について考察する。

<今後の予定>
 12月14日 熊谷 真彦 先生
   21日 諏訪 元 先生(年内最終)