第1229回生物科学セミナー

生命医科学におけるデータ駆動型科学と異分野融合研究

島村 徹平 特任准教授(名古屋大学大学院医学系研究科システム生物学分野)

2018年07月31日(火)    15:00-16:00  理学部3号館 310号室   

近年のゲノム配列解析技術や質量分析技術、その他の技術革新により、個別の分子を主な研究対象としてきた生命科学は、ゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームなどのマルチオミックス情報を扱う科学へと変貌と遂げつつある。
一方で、膨大に蓄積された網羅的分子情報からいかにして有用な情報を抽出し、さまざまな生命現象や疾患解明へつなげるかかが重要な課題になっている。
本セミナーでは、大規模データに基づき帰納的にモデルを構築し、実験、解析、仮説生成の系統的循環を加速するデータ駆動型科学によるアプローチ、特に異種情報の統合を実現し、データを俯瞰的に捉えるための統一的フレームワークとして、計算システム生物学的アプローチについて、いくつかの事例を通じて紹介するとともに、さまざまな分野で培われた叡智や新たな技術を推進力とした異分野融合研究の必要性について述べる。また、講演を通じて、データサイエンスに馴染みのない方にもその魅力や可能性を伝えたい。