人類学演習Ⅰ/人類学セミナー1

縄文人ゲノム解析から見たホモ・サピエンスの東アジアへの拡散

太田 博樹 先生(北里大学 医学部 解剖学研究室)

2018年06月22日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 201号室   

 東アジアへのホモ・サピエンスの拡散に関して、これまでに少なくとも2つのルートが考えられてきている。ヒマラヤ山脈以南を通って東南アジアへ至り、北上し、東アジアからシベリアへ拡散したルート。そして、ヒマラヤ以北バイカル湖周辺を通った細石器文化を持った集団が東アジアおよびシベリアへ拡散したルートの2つである。これまでのゲノム解析のほとんどは、いま生きている人のDNAを分析し、東アジア人の東南アジア起源を示してきた。しかし、ヒマラヤ以北のルートを通った人々の遺伝子は、その後の東アジア人へは受け継がれてはいないのだろうか?
 本トークでは、最近の古代ゲノム研究をレビューしつつ、私たちのグループが手がけた伊川津貝塚遺跡の縄文時代女性のゲノム解析から見えてきた、ホモ・サピエンスの東アジアへの拡散に関するシナリオを紹介する。