第1148回生物科学セミナー

発生過程における遺伝子発現調節機構と遺伝子機能の研究~分子生物学黎明期から現在まで~

赤坂 甲治 先生(元東京大学大学院理学系研究科教授・現理学系研究科特任研究員)

2018年01月19日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

動物発生の分子生物学の黎明期に、発生過程における遺伝子発現調節機構を明らかにする目的で、一人の研究者が選択した戦略と、遺伝子調節ネットワーク解明の歴史、現在進行中の研究についてお話しします。具体的には、モデルとする動物と発生時期特異的・組織特異的発現調節を受けるモデル遺伝子の選定、モデル遺伝子としたARS遺伝子の転写調節機構と遺伝子調節ネットワークの研究、ARS遺伝子の転写調節機構の研究から派生したクロマチンの境界(インスレーター)の研究、誤解されてきたARS機能の真の機能、治療法がなかったARS遺伝子変異によるムコ多糖症を引き起こすしくみの新しい仮説についてお話し、現在進行中の研究について紹介します。