人類学演習Ⅳ/人類学セミナー4

ヒトにおける進化的に(非)適応的な行動や現象:少子化の実証分析から統合理論へ

森田 理仁 先生(京都大学大学院 医学系研究科)

2017年11月24日(Fri)    16:50-18:35  理学部2号館 323号室   

私はヒトの行動や生態、心理を進化の理論をもとに研究しており、主なテーマは現代先進社会で見られる少子化です。適応度を最も直接的に左右する出生率の自発的な低下を伴う少子化は、いわゆる社会科学のみならず、進化生物学にとっても興味深い現象です。進化的アプローチがもたらすものとしては、「盤石な理論体系に基づく究極要因の理解」「生物学ならではの視点」「ヒトの生物学的特性を踏まえた方法論」の三点があると考えています。発表では、「子ども数を巡る夫婦間の性的対立」「社会経済成功
vs 繁殖成功」「Two-child family
norm」といったトピックの研究例を通して、なぜ少子化が起こるのか?という疑問を考究します。さらに、ヒトでは少子化以外にも、児童虐待や閉経、自殺といった一見すると進化的に非適応的な(=生存や繁殖にとって不利で、適応度の低下にしばしば繋がる)行動や現象は多く見られます。各事象の実証分析から、「行動・生態の適応性」「古環境での適応産物としての心理メカニズムと現古環境のミスマッチ」「非適応的文化」の知見を駆使した統合理論を生み出す試みについても、あわせて議論したいと考えています。