第1179回生物科学セミナー

フォワード・ジェネティクスという名のマウスを使ったくじ引きー睡眠制御機構の解明を目指してー

船戸 弘正 教授(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構WPI-IIIS・東邦大学医学部)

2017年12月01日(Fri)    16:00-17:30  理学部3号館 326号室   

本年のノーベル医学生理学賞は、概日リズムの基本機構解明の端緒となった研究に授与された。彼らの用いた研究手法は、ランダム点突然変異を持つ多数のショウジョウバエの概日リズムを調べるというフォワード・ジェネティクスのアプローチである。フォワード・ジェネティクス研究では、遺伝性の表現型に基いて原因遺伝子変異を同定するため、上手くいくと全く新しい重要な分子を同定することができるが、運が悪いとすでに知られている遺伝子を再発見するだけになってしまう。睡眠は誰もが毎日体験するにも関わらず、その意義や制御機構は驚くほどわかっていない。定義によっては、線虫やクラゲも"眠る"ものの、ヒトと同様に脳波に基づきノンレム睡眠やレム睡眠を明確に区別できるのは基本的に哺乳類である。以上のことから、われわれはランダム点突然変異を持つ多数のマウスの睡眠を調べることによって、新たな睡眠制御分子を複数同定した。

参考文献
1) Funato, H., et al. Nature 539: 378-383 (2016).
2) Funato, H, et al. Cell Met 9: 64-76 (2009).
3) Chemelli, R, et al. Cell 98: 437-451 (1999).