第1140回生物科学セミナー

集団ゲノミクスから探る生殖システムの進化:シロイヌナズナを例に

土松 隆志 准教授(千葉大学大学院理学研究院)

2017年11月15日(Wed)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

塩基配列決定技術の飛躍的な発展にともない,近年,全ゲノム情報に基づき種内の多数個体のゲノム配列を解析する“集団ゲノミクス”の進展がめざましい.集団ゲノムのデータを解析することで,過去から現在にいたる個体数の変動や集団分化の過程を推定できるほか,ゲノムワイド関連解析(GWAS)により自然変異にかかわる遺伝子を同定することも可能である.本セミナーでは,集団ゲノミクス研究の進むモデル植物シロイヌナズナを材料に用い,自家不和合性から自家和合性への進化,配偶子数の進化的変化など,特に生殖に関わるさまざまな形質に着目して,その進化を分子レベルから探った研究例を紹介したい.

参考文献

・Durvasula, A., et al. (2017) African genomes illuminate the early history and transition to selfing in Arabidopsis thaliana. Proc. Natl Acad. Sci. 114:5213–5218
・Tsuchimatsu, T., et al. (2017) Patterns of polymorphism at the self-incompatibility locus in 1,083 Arabidopsis thaliana genomes. Mol. Biol. Evol. 34:1878–1889
・土松隆志(2017)『植物はなぜ自家受精をするのか(遺伝子から探る生物進化 5)』慶應義塾大学出版会