第1147回生物科学セミナー

多様な軸糸ダイニンの多様な性質について

神谷 律 先生(東京大学大学院理学系研究科名誉教授)

2017年09月14日(Thu)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

鞭毛(=繊毛)は真核生物が進化の初期に獲得した運動・感覚器官である。運動性のものは一般に9本の周辺微小管間の滑り運動によって屈曲波を発生する。その力発生を担うのが巨大モータータンパク質軸糸ダイニンである。軸糸ダイニンの重鎖(力を発生するサブユニット)には多種(ヒトでは15種)があり、それぞれ異なる性質を持つと考えられるが、全貌はまだ十分明らかになっていない。私と共同研究者は長年にわたってクラミドモナスから多数のダイニン欠失変異株を単離して、鞭毛運動機構における各種ダイニンの役割を明らかにしてきた。このセミナーでは2012年の最終講義で話せなかったことと、その後の発展を紹介したい。主に1) ダイニンの軸糸内局在に関する新知見、2) チューブリン・ポリグルタミン酸化修飾による調節、3) 細胞質ダイニンによる鞭毛膜表面の運動、について話す予定である。

参考文献
Ritsu Kamiya and Toshiki Yagi (2014) Functional Diversity of Axonemal Dyneins as Assessed by in Vitro and in Vivo Motility Assays of Chlamydomonas Mutants. Zoological Science, 31:633-644 (総説)