人類学演習/人類学セミナーⅢ・Ⅳ

Triple CRISPR 法による第一世代での両アリル完全ノックアウトマウス作製        〜交配なしでのマウス表現型解析〜

隅山 健太 先生(理化学研究所 生命システム研究センター)

2017年08月01日(Tue)    16:20-17:00  理学部2号館 323号室   

近年のCRISPR/Cas9法の登場によりゲノムを効率よく編集できるようになり、受精卵への直接インジェクション法によりノックアウト動物が効率よく作製できるようになったが、通常作製した最初の世代の動物の両アリルのノックアウト率は100%ではなく、複数の遺伝子の同時ノックアウトではさらにその効率が低下してしまう問題があった。このため両アリルノックアウトの動物の表現型解析にはさらに交配操作が必要になり、多大な時間と労力を割かねばならなかった。そこで私たちは第一世代マウスでの表現型解析を実現するため、CRISPR/Cas9法の改良を試みた。まず、ターゲット効率が良くオフターゲットが少ないガイドRNAのデザイン法を開発し、マウス各遺伝子の有効な標的配列のデータベースを整備した。さらに、ひとつの遺伝子に対して3ヶ所のガイドRNA標的部位を設定することで、単一gRNAよりも飛躍的に効率を上げることに成功し、1世代目で安定してほぼ100%の高い確率で両アリルノックアウトマウスを作成することに成功した。本トリプルCRISPR法の開発により、遺伝子改変マウスをこれまでにはない効率規模で作製できるようになり、高スループットの表現型解析法と組み合わせることで、時間、労力、動物使用数の大幅な削減を実現しながら大規模な遺伝子スクリーニングを行うことが可能となった。
【参考論文】
Sunagawa, Sumiyama, Ukai-Tadenuma, Perrin, Ueda and others. "Mammalian reverse genetics without crossing reveals Nr3a as a short-sleeper gene" Cell Reports 2016, 14, 1–16
Tatsuki and others. "Involvement of Ca2+-Dependent Hyperpolarization in Sleep Duration in Mammals" Neuron (2016) 90: 70–85