第1168回生物科学セミナー

細胞内シグナル伝達系の定量解析~細胞内の反応を覗いて測って操作して~

青木 一洋(自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター)

2017年07月21日(Fri)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

細胞は外界からの種々の刺激を細胞膜上の受容体で感知し、そのシグナルを細胞内の分子へと伝えることで細胞機能の恒常性を維持しており、この分子ネットワークは細胞内情報伝達系と呼ばれている。細胞内情報伝達系の破綻は悪性腫瘍や自己免疫疾患などの病態につながる。細胞内シグナル伝達は、極論すると、生体物質の物理化学的な法則に従った拡散や化学反応の連鎖であり、微分方程式でシグナル伝達系をモデル化し、要素間の反応や拡散等のパラメーターを与えることで、細胞内シグナル伝達系をコンピューター上で数値計算することが理論上可能である。しかしながら、現状では実験により測定された反応パラメーター情報(分子の濃度や解離定数、酵素反応速度定数など)が圧倒的に不足しており、予測可能なシミュレーションモデルを構築することは困難である。
私達は、主に蛍光イメージングの手法を用いて、細胞内シグナル伝達系の可視化、定量化、操作のための技術を開発し、定量的な反応パラメーター基づくシミュレーションモデルを構築したいと考えている(夢見ている)。本発表では、私達が最近取り組んでいる細胞内シグナル伝達系の可視化、定量化、操作の技術ついて紹介する。