人類学演習/人類学セミナーⅢ・Ⅳ(人類学談話会)

DNAから人権まで  -人類学の新たな総合化に向けて-

尾本 恵市 先生(東京大学よび国際日本文化研究センター名誉教授)

2017年06月02日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 402号室   

<要旨>
 現在のわが国で人類学が置かれた状況には問題がある。まず、自然と文化の名の下に二つの人類学が乖離していて、本来あるべき人間の総合的理解への道が閉ざされている。このため、期待されるべき人類学の社会的貢献の能力が半減され、マイナーな学問との評価に甘んじざるをえない実情がある。演者には、約60年の研究・教育の経験から得た、総合学としての人類学の可能性についての、若い諸君に伝えたいメッセージがある。この講演では、「歴史に学ぶ」との思いから日本の人類学の歴史を振り返り、ついで専門研究としての分子人類学に始まり、文・理合同の「先住民族の人権」などの学際研究に至った経緯について述べる。特異性と多様性、およびその歴史にたえず注目しながら、「ヒトは文化をもち、文明をつくる動物」であるとの人類像を確認したい。
参考書:『ヒトと文明-狩猟採集民から現代を見る』(ちくま新書、2016)。



今後の予定
6/9  中山 一大 先生
6/16 田畑 幸嗣 先生
6/23 海部 陽介 先生