岩崎研公開ラボセミナー

マウスの従順性行動関連遺伝子座とイヌの家畜化との関連

松本悠貴 氏(国立遺伝学研究所)

2017年04月05日(水)    15:00-16:00  理学部3号館 310号室   

動物が人に対して馴れる行動(従順性行動)は、家畜化の過程で人為的な選
択を受けてきたと考えられると同時に、複数の種において見られる行動である
ことから、行動の収斂についてのモデルになると考えられる。従順性行動に関
わる遺伝子座を明らかにするため、発表者らは8つの野生由来マウス系統を
交配させて樹立した野生由来ヘテロジニアスストックを用いて、従順性に対す
る選択交配を行ってきた。8世代にわたる選択交配の結果、選択集団は、対照
集団よりも高い従順性を示した。SNPアレイにより、選択8世代目の集団と祖先
系統の2万以上のSNP情報を得たのち、家系情報を考慮したシミュレーションを
利用したゲノムスキャンを行った。このシミュレーションベースの解析と、その後
のジェノタイプ-フェノタイプ関連解析の結果、11番染色体上に二つの候補遺
伝子座を同定した。さらに、従順性が高い代表的な愛玩動物であるイヌにおい
て、当該領域の行動への効果についても検討した。本発表では、これらの結果
について議論したい。

場所: 理学部 3号館 310号室
担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・岩崎研究室