第1121回生物科学セミナー

葉緑体アンカーの装置と制御について

高木 慎吾 教授(大阪大学 大学院理学研究科)

2016年11月17日(木)    16:50-18:35  理学部2号館 223号室   

葉緑体は異なる環境条件下で異なる分布パターンを取り、細胞・個葉レベルでの光合成の最適化に寄与します。葉緑体が細胞内の特定の場所に定位するとき、葉緑体は表層細胞質中で積極的にアンカーされています。環境の変化に応じた葉緑体の分布パターンの変化は、葉緑体のアンカー状態の解除(=脱アンカー)、移動、再アンカーを経て実現すると考えられます。私たちは、葉緑体をアンカーする装置とその制御について、アクチン細胞骨格に注目して解析しています。制御の主役と思われる、動植物に保存されているビリンというアクチン結合蛋白質にたどり着いた経緯、葉緑体のレドックス状態が制御に関わる可能性などについて紹介します。
参考文献
Takagi S., Takamatsu H., Sakurai-Ozato N. (2009) Chloroplast anchoring: its implications for the regulation of intracellular chloroplast distribution. J. Exp. Bot. 60: 3301-3310.