程研公開ラボセミナー

RNAオーバーハング結合性蛍光プローブの開発とsiRNA解析への応用

佐藤 雄介助教(東北大学・大学院理学研究科・化学専攻・分析化学研究室)

2016年05月30日(月)    14:00〜15:00  理学部3号館412号室   

 siRNAを標的組織、細胞に安全かつ効率的に運搬するデリバリー技術はsiRNA医薬の実現に向けた重要な課題である。現在、蛍光ラベル化されたsiRNAを用いたデリバリー過程解析が行われているが、蛍光ラベル化によりsiRNAが本来持つ活性や機能を損なうリスクがある。これに対し、我々の研究グループでは独自に設計したRNAオーバーハング構造選択的な蛍光性プローブを用いて、蛍光ラベル化が一切不要であるsiRNAデリバリー解析法を開発した(Chem. Commun., 2015, 51, 1421-1423.)。我々が開発した蛍光性プローブはRNA 3’末端オーバーハング塩基を認識しうるペプチド核酸とインターカレーターであるチアゾールオレンジとを連結したコンジュゲートを基盤としたものであり、siRNAに対するアフィニティラベル化試薬として機能する。本セミナーでは、蛍光性プローブを用いたsiRNAセンシング、さらにはsiRNAデリバリー解析を含めたsiRNA機能解析に向けた展望について紹介する。