第1092回生物科学セミナー

奇妙な動物から探る海産無脊椎動物幼生の起源と進化

中野裕昭 准教授(筑波大学 生命環境系 下田臨海実験センター)

2016年03月29日(火)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

 新口動物のディプリュールラ型幼生、旧口動物のトロコフォア幼生、刺胞動物のプラヌラ幼生、海綿動物のパレンキメラ幼生など、実に様々な海産無脊椎動物の幼生がこれまで報告されている。しかし、それぞれが進化上いつ獲得されたのか、互いに相同なのか、どのような進化的関連性があるのか、諸説入り乱れているのが現状である。その要因の一つとして、非モデル動物の発生学的データの不足が挙げられる。系統学的に重要な位置を占めるにもかかわらず、信頼できる発生の報告が非常に少ない種やグループも未だに存在する。本セミナーでは、棘皮動物門有柄ウミユリ類トリノアシ、珍渦虫、平板動物の研究成果について発表するとともに、JAMBIO沿岸生物合同調査による動物種の探索についても触れたい。奇妙な動物を研究することの面白さと困難を紹介しながら、後生動物の幼生の進化や起源について議論する。