第983回 生物科学セミナー

オートファジーの生理的意義と分子機構

水島 昇(医学系研究科)

2014年07月23日(水)    16:40~  理学部2号館 講堂   

オートファジーはリソソームを分解の場とする細胞質成分の分解システムである。出芽酵母をモデルとした解析を発端に、この約10年間、哺乳類を含むさまざまな真核生物でのオートファジーの分子機構と生理的意義の理解が急速に進んだ。現在までに、オートファジーは飢餓時や初期胚発生時のアミノ酸プールの維持、細胞内品質管理を通じた神経変性・腫瘍抑制、細胞内細菌分解、内因性抗原提示などにおいて重要な役割を担っていることが明らかになった。本セミナーでは、これらの生理的意義に加え、オートファジーの制御機構、オートファジーを司る膜動態の分子機構を概説し、ヒト疾患との関連についても議論する。

参考文献
(Mizushima et al. Cell 140; 313, 2010, Mizushima et al. Cell 147:728, 2011,
Itakura et al. Cell 151: 1256, 2012, Saitsu et al. Nat Genet 45: 445, 2013)