第1059回生物科学セミナー

The role of endogenous RNAi in AWC olfactory adaptation

Noelle L'Etoile(Associate Professor, Department of Cell and Tissue Biology University of California San Francisco (UCSF), USA)

2015年11月12日(木)    16:00-17:00  理学部3号館 327号室   

 Noelle L'Etoile博士は、線虫C. elegansの嗅覚可塑性をモデル系として使って神経機能制御の新たな分子機構を次々と発見されています。以前に彼女は、匂いに曝され続けることによって起こる嗅覚順応には短期の嗅覚順応と比較的長期の順応とがあり、後者はAWC嗅覚神経内でのcGMP依存性プロテインキナーゼ(PKG)の核移行により起こることをみつけました。さらに、匂い刺激により起こるcGMPレベルの低下がPKGの核移行を引き起こすこと、PKGの核移行が線虫の匂いへの応答性を低下させることを示しました。そして最近、嗅覚順応時には、グアニル酸シクラーゼに対するendo-siRNA (22G-RNA) が増加し、クロマチン制御を介してグアニル酸シクラーゼのmRNA量を減少させることにより嗅覚応答を低下させることを見いだしています。このたび国際シンポジウムのために来日された機会に、このendogenous RNAi制御に関してセミナーをして頂くことになりました。最新の知見がお聞きできることと思います。どなたでも気楽にご参加下さい。
参考文献:
"Endogenous nuclear RNAi mediates behavioral adaptation to odor."
Juang BT, Gu C, Starnes L, Palladino F, Goga A, Kennedy S, L'Etoile ND.
Cell. 154(5):1010-22 (2013)