第1040回生物科学セミナー

社会性アブラムシによるゴール修復行動の分子基盤と進化

沓掛 磨也子(産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門)

2015年12月02日(水)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

アブラムシの一部には、ミツバチやアリのように社会性をもつ種が存在する。その大きな特徴は、自己犠牲的な社会行動を示す兵隊階級の存在である。兵隊は、コロニー防衛のために外敵を攻撃することに特殊化した個体だが、一部の種においては、ゴール(巣)を維持するためのさまざまな労働もおこなう。本セミナーでは、ゴールが壊された時に兵隊が自らの分泌体液で穴を修復するという自己犠牲的なゴール修復行動に着目し、その分子・細胞基盤と進化、さらには内部共生微生物との関わりなどについて、これまで演者らが取り組んできた研究成果を紹介したい。