第1038回生物科学セミナー

植物の高次機能を支える原形質流動の分子メカニズム

富永 基樹(早稲田大学 先端生命医科学センター)

2015年11月04日(水)    16:50-18:35  理学部2号館 講堂   

 真核生物における細胞内輸送の時間・空間的制御には,細胞骨格と多様なモータータンパク質の運動機能が深く関わっている。植物は動くことが出来ないが,細胞内では原形質流動と呼ばれる非常に活発な輸送が発生している。微小管を長距離輸送のレールとして使用する動物に対し,植物の原形質流動は,アクチンフィラメントをレールとし,植物特異的なミオシンXIが駆動力として働く非常にユニークな輸送システムである。
 本セミナーでは,植物ミオシンの分子レベルでの運動や制御メカニズムを踏まえ,200年以上前の発見以来大きな謎であった原形質流動の本質的役割に関して議論したい。