人類学演習/人類学セミナーⅠ・Ⅱ(人類学談話会)

HLA-DRB1分子におけるアリル系統特異的な抗原認識レパートリーの多様化

安河内彦輝さん(理学系研究科生物科学専攻ヒトゲノム多様性研究室)

2015年06月12日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 402号室   

外来性抗原を認識するヒト白血球抗原(HLA)は、ヒトゲノムで最も高い多型性を示し、対立遺伝子(アリル)系統の存続期間が極めて長い。その進化機構について多くの研究が行われてきたが、HLA多様性が進化の過程でどのように構築されてきたかは不明であった。そこで演者は、HLA-DRB1分子の抗原認識に重要なペプチド結合領域(PBR)に注目し、時系列に沿ったアミノ酸多様性の変化を調査した。その結果、PBRのアミノ酸置換率がアリル系統間で異なることがわかり、抗原認識レパートリーの多様化は、全てのアリル系統に一様ではなくアリル系統特異的であることが示唆された。