人類学演習/人類学セミナーⅠ・Ⅱ(人類学談話会)

栽培イネの進化と多様性:現代genomics と古DNAによるアプローチ

熊谷真彦特任助教(理学系研究科生物科学専攻動物発生学研究室)

2015年05月29日(金)    16:50-18:35  理学部2号館 402号室   

作物の栽培化は約1万年前から世界中の様々な地域で始まった。数千年におよぶヒトの栽培化という選択によりこれら栽培植物は野生祖先種と大き く異なる形質を獲得してきた。アジア地域において最も重要な作物であるイネは広範な地域で栽培され多様性に富む。これらの多様性を生み出した ものが何であるのか?ゲノムデータの詳細な解析により古代において遺伝的に離れたイネの交配が重要であったことが示唆された。また、イネの起 源地や栽培化過程は数十年に渡り研究者の興味を惹きつけてきた。近年の大規模なゲノム解析により多くの知見がもたらされたが、未だに栽培化過 程には未解明の部分が残されている。古代に起きたイベントを直接見るべく、遺跡から出土するイネ遺物のDNA分析によりその栽培化過程を明ら かにすることを試みている。