生物科学セミナー 第835回 7月11日(水)16:30〜18:00
講演題目:メリステムの形成・維持にかかわる遺伝子とその機能 |
講演者名:経塚 淳子(東京大学大学院農学生命科学研究科生産環境生物学専攻) |
講演の概要 頂端分裂組織(メリステム)が作られ、その機能が維持されることは植物の持続的な成長の大前提である。植物の地上部では、胚発生で作られる茎頂メリステムと、葉の腋に形成される腋生メリステムが働き続ける。私達は、イネを材料にメリステムが作られ、維持されるしくみを調べている。LONELY GUY(LOG)と名づけた遺伝子の解析から、メリステムの活性を維持するためにメリステムで局所的なサイトカイニン活性化が起こっていること、また、サイトカイニンが、従来考えられていたよりも直接的かつ密接にメリステム維持に関わっていることが見えてきた。 LAX遺伝子はイネの腋生メリステム形成を制御する。LAXはbHLHドメインを持つ転写調節因子をコードするが、そのアミノ酸配列から、LAX自身はDNAに結合せず、ヘテロダイマーのパートナーの機能を抑制すると考えられている。LAXが腋生メリステム形成をコントロールするしくみについて分かってきたことも紹介したい。 参考文献 Kurakawa T, Ueda N, Maekawa M, Kobayashi K, Kojima M, Nagato Y, Sakakibara H, Kyozuka
J. Direct control of shoot meristem activity by a cytokinin activating
enzyme. Nature 455: 652-655 (2007) Komatsu,K, |
理学部生物学科植物学コース