生物科学セミナー 第849回 4月30日(水)16:30〜18:00
講演題目:メタボロミクスをツールとする植物代謝研究 |
講演者名:平井 優美(独立行政法人理化学研究所植物科学研究センター メタボローム基盤研究グループ代謝システム解析チーム) |
講演の概要 メタボロミクス(メタボローム解析)は、ゲノミクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクスと並ぶ「オーム科学」であり、質量分析やNMRを用いて代謝産物(metabolite)を網羅的に解析することを目指している。発展途上の学問分野ではあるが、医療診断や創薬研究などに利用され始めており、植物科学では、他のオーム科学と併せて生命現象のシステム的理解を目指す試みも多い。 植物界には20万種以上と推定される代謝産物が存在し、食糧や飼料中の栄養素や機能性成分として、また医薬品原料や工業原料などとして植物の有用性を決定している。これらの合成・分解経路とその制御機構の理解は、基礎研究の対象として興味深いのみならず、植物の物質生産能向上にも必須である。このセミナーでは、メタボロミクスの現状を概説するとともに、シロイヌナズナを用いた我々の代謝研究の例を紹介する。
参考文献 |
理学部生物学科植物学コース