1000万年前のアフリカ類人猿、チョローラピテクスの発見と意義について

日時:12月21日(金)16:30−18:00
場所:理学部2号館402号室
演題:1000万年前のアフリカ類人猿、チョローラピテクスの発見と意義について
講演者: 諏訪元先生 (総合研究博物館 人類形態研究室)
講座区分:人類学談話会


要旨:
化石による人類の起源と進化の研究は、大型類人猿の野外調査の展開と平行して、1950年代末から1970年代にかけて東アフリカで活発になり、まずは400万年近くまでの人類史が知られるようになった。その後、1990年代に入り、ようやく400万年前より古い人類化石が充実しはじめ、現在までに、600万年前後の人類祖先が複数種発表されてきた。さらに、近年では、人類起源期もしくはその直前と思われる時代の大型類人猿化石の研究が活発化しつつある。本発表では、約1000から1050万年前のチョローラピテクス・アビシニクスの発見と、その意義について概説する。チョローラピテクスの大臼歯にはせん断的特徴が一部見られ、機能的には繊維質の食性への萌芽的な適応を意味し、系統的には同種が現生ゴリラを含む分岐群に属することを示唆ている。人類のみならず、現生のアフリカ大型類人猿が、それぞれに出現してきた進化過程について、議論の核となる化石記録による実証的知見の充実に今後期待したい。例えば、チョローラピテクスの解釈が正しいならば、従来考えられてきた以上にヒトと類人猿の分岐が深かったことになる。

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