頭蓋形態小変異の遺伝率

日時:6月15日(金)16:30−18:00
場所:理学部2号館402号室
演題:頭蓋形態小変異の遺伝率
講演者:近藤修先生(形態人類学研究室)
講座区分:人類学談話会


要旨
今回我々は、ロンドン自然史博物館の家系骨格資料より、頭蓋形態小変異の遺 伝率を計算した結果を紹介する。頭蓋形態小変異は集団間の系統関係 (population history)の復元に広く用いられているが、仮定として、その形態 変異に比較的大きな遺伝性を期待していることが多い。これらの仮定は、形態 小変異にもとづく集団間の関係と、タンパク質レベル、遺伝子レベルの遺伝マー カーとの結果が比較的よく一致するということから指示されているが、直接形 態小変異の遺伝率を計算した結果にもとづくものではなかった。遺伝率の計算 には家系資料が必要であり、また、形態小変異のようなカテゴリデータを扱う 際にも方法的問題がある。今回の結果は、現生人類の地域集団をよりよく弁別 する頭蓋形態小変異が必ずしも高い遺伝率を持つわけではないことを示してい るかもしれない。

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