日時:1月26日(金)16:30−18:00
場所:理学部2号館402号室
演題:「タイにおける末梢T/NK細胞増殖症/リンパ腫に関する血清学的・分子生物学的研究」
講演者:高雄さとみ(人類生物学・遺伝学研究室)
講座区分:人類学談話会
概要:タイ南部を中心に見られる末梢T/NK細胞増殖症(PTPD/L)は、進行が速く予後不良で
あり、今のところ有効な治療法もないまま多くの患者が死に至る。本疾患では多臓器
にわたる腫瘍細胞の浸潤が顕著であるが、これら腫瘍細胞の一部でEpstein-Barrウイ
ルス(EBV)転写RNAが確認された。世界に広く淫侵しB細胞親和性ウイルスとして知
られたEBVが近年、特にアジアでT細胞やNK細胞の致命的なリンパ組織増殖性疾患とも
関連することがわかってきたが、T細胞への感染メカニズムなどは未だに解明されて
いない。本研究では、PTPD/Lにおける臨床病理学的、免疫学的な側面を明らかにして
疾病を特徴づけることを目的とし、EBVの状態と宿主因子としての患者の免疫状態を
検証するために血清学的・分子生物学的分析をおこなった。今回はこれまでに得られ
た知見について報告する。