ミトコンドリアDNA・HVI領域のハプロタイプ分析へのWGA法の応用についての 検討

日時: 5月23日(火)16:30〜18:00
演者:奈良明奈(東京医科歯科大学院医歯学総合研究科修士課程 司法医学分野)
演題:ミトコンドリアDNA・HVI領域のハプロタイプ分析へのWGA法の応用についての 検討
場所:理学部2号館402教室
区分:人類学談話会

要旨:ヒト・ミトコンドリアDNA中のHVI (Hyper Variable RegionT) 領域は変異性 に富み,シークエンス分析が個人識別に応用されるほか,同領域のハプロタイプ分析 により,民族集団間の比較あるいは個人の出身集団の特定への応用などが研究されて いる。一方,WGA (Whole Genome Amplification) 法とは、予め全ゲノムDNA量を増や す手法であり,DNA抽出が困難な古い試料や劣化した試料についてのDNA分析に応用が 期待されるほか,試料の安定的保存という観点からも推奨されうる。しかしながら, WGA法による増幅を経たDNA試料は,増幅前の試料と果たして同一のものといえるのか どうか,いわばWGA法の有効性を検証することが必要であり,ミトコンドリアDNA・ HVI領域のシークエンスを通じて検討することとした。健常人6名の組織試料 (血液, 口腔粘膜,爪) より抽出したDNAを用い、同一試料を従来通りのシークエンス解析す る方法と、WGA法により増幅させたDNAからシークエンス解析する方法について比較検 討した。両方法により得られたHVI領域の配列は、1名のひとつの組織については1箇 所で配列に相違があり,さらに検討しているが,その他については各個人ごとに同一 の配列が得られている。