日時:7月11日(金)16:30−18:00
場所:理学部2号館402号室
演題:親から子へ価値観は伝達されるか−社会調査による検証
講演者: 石黒格先生(弘前大学 人文学部)
講座区分:人類学談話会
要旨:
社会調査は実験、シミュレーションと並んで人間行動や社会現象を研究する有力
な方法です。実験と比較すると、意図した変数を意図した方向に操作できないと
いう欠点はありますが、自然環境のなかで、人の行動を観察、測定できることは
大きな強みとなります。今回の講演では、特に石黒が専門としているネットワー
ク調査の手法によって検討可能になるトピックを紹介します。ひとつは、社会科
学領域で著名なAsch的な同調が世論過程に与えるインパクトを見積もることです。
果たして、私たち
はどれだけ「同調的な」ミクロ対人環境に置かれているでしょうか。もうひとつ
の話題は、価値観の親から子への垂直伝達です。遺伝も含めた様々なプロセスで、
親から子に性格特性や価値観が伝達されることは確実です。しかし、人間は発達
中、様々な影響を受けるため、親から子への影響が残存すると言い切ることはで
きません。親子をペアで測定したデータの分析から、親子の態度の一致を示し、
教育という環境要因が、一致を弱めることを示します。
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