東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻

33回 進化多様性生物学セミナー

 

日時:2006年4月27日(木)16:00-17:00

場所:理学部2号館 3階 323号室

 

演者:服田 昌之

  (お茶の水女子大学湾岸生物教育研究センター)

 

演題:動物ボディープランの原型を探る

 

要旨:

サンゴの網目状進化や着生変態機構などの実際の研究内容について ごく手短に紹介した後、動物のボディープランの原型を求める試みで皆様に挑戦してみたいと思います。動物は門ごとに独特なボディープランがあって多様に見えます。しかし、全ての動物門は共通祖先から放散したのですから、ボディープランとその形成様式にはひとつの祖先型があったはずです。未だ統一的な観点による知見の整理はできておらず、相同器官を取り違えたままの遺伝子発現比較がまかり通っています。その原因は、発生過程の記載を軽んじていることにあるようです。例えば両生類では、原口が肛門になるという誤ったイメージが一般化しており、原口はいったん閉じて肛門は別の場所に開くという記載が忘れられています。いっぽう、個別記載をきちんと見ることで、昆虫の脚に対するヒトの相同器官を推定することもできます。発生学の常識を覆し、ボディープランの原型を提示したいと思います。

 

世話人:免疫分子進化学研究室 野中 勝 (内線27589)