動物科学特論II

315Zoological Conference

 

日時: 1018(木16:00-17:00 

*注意! 通常と曜日がちがいます。

演者: 束村 博子 博士名古屋大・院・生命農学

演題: 生殖を司る神経ペプチド、メタスチン/キスペプチン

 

 近年、ほ乳類の生殖機能を制御する重要なペプチドとしてメタスチン(metastin、キスペプチンとも呼ばれる)が脚光をあびている。メタスチンは、Gタンパク共役型受容体のひとつGPR54の内因性リガンドとして2001年に発見され、腫瘍転移抑制(metastasis)遺伝子KiSS-1によりコードされていたため、この名がつけられた。その後、メタスチンの性成熟や生殖機能制御における重要性を示す報告が相次ぎ、メタスチン-GPR54系が性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH/性腺刺激ホルモン制御において中核的な役割を果たすと考えられるに至った。我々は、ラットを用いた数々の実験により、内因性メタスチンが排卵や性周期の維持に第一義的な働きをすることを確かめた。本講義では、生殖内分泌の分野でホットな話題を提供しつつあるメタスチンの生殖機能における生理的役割を中心に、その性成熟および性ステロイドのフィードバック作用における重要性、泌乳期における性腺機能抑制への関わりなど、メタスチン研究の最前線について紹介したい。

 

場所:理学部2号館 第1講義室(201号室)

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・動物科学大講座

  (TEL: 03-5841-4018) 生体情報学研究室