動物科学特論II

311Zoological Conference

 

日時: 6月13日(水)16:00-17:00

演者: 鈴木 忠 博士(慶応義塾大学医学部生物学教室)

演題: クマムシ(緩歩動物)の生活史

 

 クマムシは緩歩動物門の微小動物で、現在までにおよそ1000種が記載されている。そのうちのいくつかの種は陸上のコケの中を生息地としており、乾燥する環境に適応するためのクリプトビオシスという能力を備えている。これらの種では、乾燥状態において想像を超えるような耐久性を示すため、古くから興味を集めてきた。現在では、クリプトビオシスに関する分子生物学的機構や、クマムシのゲノム情報を求める研究の動きが加速しつつある。しかしながら、この動物群の生活史についてはいまだに不明な部分が大きく、また誤解も多い。この講演では、コケに棲む種の代表として、オニクマムシMilnesium tardigradum の生活史を解説するとともに、その他のクマムシ類について知られている知見をまとめてみる。巷に流布している誤解に満ちたクマムシ像を払拭して、比較動物学の興味深い対象としてクマムシに親しんで頂きたい。

 

場所:理学部2号館 第1講義室(201号室)

 

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・動物科学大講座

  (TEL: 03-5841-4018) 細胞生理化学研究室