動物科学特論I

304Zoological Conference

 

日時:712日(水)16:00-17:00

演者:黒川 大輔 (東大・理・三崎臨海実験所

                      特任助手)

演題:脊椎動物Otx2遺伝子の転写調節の進化

 

Otx2遺伝子はペアードタイプのホメオドメインを持つ転写調節タンパク質をコードし、脊椎動物の頭部・脳神経系の発生各局面において重要な働きを持つ。私は、マウスOtx2遺伝子の脳神経系での発現調節を明らかにするために、トランスジェニックマウスを用い複数の転写調節領域を同定し、これらを欠失したノックアウトマウスを作製し、機能解析を行った。

 近年、各種脊椎動物のゲノムプロジェクトが進行し、各脊椎動物網間でのゲノム配列の比較が可能になった。我々がマウス胚で同定した転写調節領域をニワトリ、Xenopus、ゼブラフィッシュ、メダカ、フグOtx2遺伝子と比較した所、それぞれの系統で保存性が異なる事が分かった。各転写調節領域の起源を調べるためにゲノム情報の乏しい軟骨魚類(エイ)、総鰭類(シーラカンス)のOtx2遺伝子座を含むBACクローンを単離し、その塩基配列を決定して転写調節領域の保存性を検討した。

 本発表ではマウス胚を用いた転写調節領域の機能解析と、ゲノムの比較によって見えてきた、その進化的変遷について議論したい。

(*本研究は、本年3月まで所属していた理研CDBボディプラン研究グループで行った。)

 

場所:生物科学専攻第1講義室(理学部2号館201号室)

主催: 東大・院理・生物科学・動物科学大講座 (TEL: 03-5841-4018)

       三崎臨海実験所担当