動物科学特論I
第325回Zoological Conference
日時: 10月22日(水)16:00-17:00
演者: 大久保 範聡 博士
(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)
演題: メダカにおける脳の性分化
哺乳類では一般的に、出生前後に脳の雌雄性が決まり、その後、その性が逆転することはない。ところが魚類では、性成熟後であっても、性ステロイド処理によって、人為的に異性の性行動や生殖腺構造が誘導され得る。また、自然条件下で性転換を起こす魚種も少なくない。このことは、魚類の脳はいったん性分化が起きたとしても、性的な可塑性を保持しており、外的、あるいは内的要因により、容易に性が逆転し得るということを意味している。このようなことは、我々ヒトを含めた哺乳類では決して見られない現象であり、古くから多くの関心が寄せられてきたが、魚類の脳の性がいつ、どのように決まるのかについては全くのブラックボックスであった。そればかりか、魚類の脳の性差自体に関する知見もほとんど無いのが現状であった。本講演では、メダカをモデルとして用い、魚類における脳の性分化メカニズムを解析した一連の研究について紹介したいと思う。
場所:理学部2号館 第1講義室(201号室)
担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・動物科学大講座
(TEL: 03-5841-4018) 生体情報学研究室