動物科学特論I

321Zoological Conference

 

日時: 611(水)16:00-17:00 

演者:  昌平博士(理化学研究所・

免疫・アレルギー科学総合研究センター・

免疫恒常性研究ユニット・ユニットリーダー)

 

演題 自己免疫寛容における制御性T細胞の意義

免疫系は個体を侵襲する「非自己」を特異的に排除する一方で「自己」に対する不応答性(免疫寛容)を獲得し維持している。従来、「自己」を認識するリンパ球は免疫系から排除されると考えられてきたが、実際は健常個体にも自己免疫病を惹起する能力を持った病原性リンパ球が多数存在する。近年、これら病原性T細胞は制御性T細胞(regulatory T cells; Treg)と呼ばれる免疫応答を抑制する機能に特化したT細胞亜集団によって能動的に制御されていることが明らかになってきた。最近、致死的自己免疫疾患IPEX症の原因遺伝子として同定された転写因子Foxp3Tregの発生・分化と機能を司る「マスター遺伝子」として機能することが示され、Foxp3変異マウスに発症する自己免疫疾患の原因がTregの分化異常であることが明らかにされた。Foxp3の研究を通して、Tregが自己免疫寛容の獲得・維持に中心的な役割を果たしていることが立証され、Treg分化と機能の分子メカニズムに対する研究が急速に進展している。

場所:理学部2号館 第1講義室(201号室)

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・動物科学大講座

  (TEL: 03-5841-4018) 細胞生理化学研究室