動物科学特論I

319Zoological Conference

 

日時: 49(水)16:00-17:00 

演者: 川崎 雅司 博士(バージニア大・生物)

演題: 弱電気魚中枢神経系による時間情報処理

 

 

 尾部にある電気器官から正弦波状の電気信号を定常的に発する弱電気魚は、体表の電気受容器でフィードバック信号を捉えることで環境の探索をする。発電周波数の近い2尾の魚が出会うと、互いに相手の周波数を避ける方向に発電周波数を変更し混信を回避する。この行動に必須な解発要因は、2尾の発電の混合刺激に含まれるマイクロ秒単位の位相差と、4種の刺激要素のミリ秒単位の時間的順序である。マイクロ秒単位の位相差は脊椎動物における音源定位で、ミリ秒単位での時間的順序はヒトの言語や動物の音声コミュニケーションで重要な役割をはたす。電気魚における最近の研究で、これらの時間感覚を担う神経回路とシナプス電位の相互作用が明らかになった。

 

場所:理学部2号館 第1講義室(201号室)

担当: 東京大学大学院理学系研究科・生物科学専攻・動物科学大講座

  (TEL: 03-5841-4018) 生体情報学研究室